本年度は、体育教師の地位を規定する要因に、「学歴」「職業」などの新たな変数を加え、より多面的な分析をすすめることができた。 それらの点を中心にして、得られた主な結果の幾つかを列挙すれば以下の通りである。 (1)学歴の高さは、体育教師の地位評定にマイナスの寄与をする。特に、中卒の高評定と大卒の低評定の間の懸隔は大きい。(2)農林・漁業や主婦は低評価に、サービスや専門は高評価に寄与している。(3)「下」の生活水準は、それ以外に比して高い評定を示している。(4)職業の評定基準として「責任」を無視する層は高い評定を下している。(5)職業の評定基準として「学歴」を重視するほどに低く評定する傾向がある。(6)職業の評定基準として「尊敬」を無視する層が低評定に、軽視する層が高評定に寄与している。(7)教科としての体育が社会の将来に役だつというイメージを有している層は特に高い評定を下している。(8)体育の授業に力を入れたという層はそのまま高評定にはつながっていない。(9)教師イメージとしての責任感は、評定と強いかかわりがあることを指摘することはできるものの、その関連の有り様は一義的ではない。(10)学校全体の教育に関心をもっていないというイメージを持たれることは低評定につながっている。(11)授業においてひとりよがりであるというイメージをもたれるほど低い評定を与えられている。(12)教育的信念をもっていないというイメージをもたれることは、決定的な低評定に導く。(13)「〓」や「正」などの、社会指向的な生活目標をもつ層は、「快」「利」などの個人指向的な生活目標層に比べて、高い評定を下す傾向にある。
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