本研究でめざしたことは、おおきく次の二つである。 一つは、教師という職業は、ひとつの同質的社会隔層を形成しているというには無理があるのではないかと考えられる。所属している学校段階や担当教科によってどの程度に教師の地位が分化しているかを明らかにし、そのなかにおけね体育教師の位置を見つけること。 二つめは、他教師との比較をも交えながら、体育教師の地位を規定している要因を明らかにすることである。このことは体育教師の社会的地位を向上させる方略をめぐって有益な示唆をもたらすと考えられる。 以下、それぞれについて得られた結果を概説していくことにする。 まず、教師は所属する学校段階と担当する教科によって地位が分化することが実証さた。特に担当教科による地位の分化が著しい。 学校段階による違いは、高くなるほど地位は上昇し、高校とそれ以下において比較的に差が大きいことが示唆された。 担当教科による影響は非常に大きく、数学・英語・国語・理科のグループが上に位置し、音楽・美術・体育・技術家庭のグループが下位を占め、社会がそれらの間にある。 体育教師の社会的地位を規定する要因の構造について、多変量解析を施した結果、幾つかの有意な規定要因が析出された。それらは以下の通りである。 〔デモグラフィック要因〕:学歴、職業、生活水準 〔子ども要因〕:小学生の有無 〔職業の評定基準〕:責任の大きさ、学歴の高さ、能力を発揮する機会の多さ、世間から受ける尊敬の大きさ 〔教科イメージ〕:社会の将来にとって大切、力を入れて取り組んだ 〔教師イメージ〕:責任感が強い、教育全体に関心、ひとりよがりの授業、教育的信念 〔価値観〕:生活目標
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