研究概要 |
1.61年度で実施した実験の目的と内容 運動成果に及ぼす交感神経活動の影響に関する基礎的な研究として、静的な筋収縮時の筋支配交感神経活動の記録法の確立,及び観察と解析を行った。筋収縮運動としては、掌握運動を用い、掌握運動の (1)筋収縮張力と筋交感神経活動との関係,(2)掌握運動の時間経過にともなう筋交感神経活動の変化,(3)掌握運動時の主観的疲労感覚と筋交感神経活動との関係、について検討した。 2.研究で得られた成果 (1)筋交感神経活動は筋収縮張力の増大に伴って高まることが明かとなった。 (2)低い筋収縮張力であっても、筋収縮運動の時間経過に伴い筋交感神経活動が高まることが明かとなった。 (3)筋収縮運動時には、運動実施者の主観的筋疲労感覚の上昇にともない、筋交感神経活動が高まった。しかも筋疲労感覚が生じた際、疲労に対抗する努力を払うことにより筋交感神経活動は高まったが、筋収縮張力発揮の意欲と努力を放棄することにより速やかにこの活動が低下する現象が観察された。 本年度の結果から、ヒトについて、随意的な筋収縮時の筋交感神経活動を金属徴小電極を用いて、直接導出記録できることが確かめられた。さらに、本研究の直接的な筋交感神経活動の記録によって、交感神経活動が運動の成果を決める重要な因子として関与している可能性が確かめられた。 3.今後の研究の展開 61年度は掌握運動だけの比較的限られた小筋群についてのみの運動を負荷し、研究を進めたが、次年度には脚の運動や、より実際的な律動運動を負荷し、同様の解析を進める。さらに酸素摂取量などのエネルギー代謝量等との関連について検討を行う。
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