研究概要 |
(1)まずリボヌクレアーゼRhの結晶化を行った。沈殿剤として硫安、2-Methy1-2,4-pentanediol、ポリエチレングリコール(PEG)を使って種々結晶化を試みた結果、前2者の場合は針状晶や小さい板状晶しか与えなかったが、PEGの場合は幸いにも最長1mm程度の柱状晶を与え、これに対しX線回折の実験を行うことができた。その結果、この結晶は斜方晶系に属し、単位格子はa=68.2,b=72.8,c=49.7Aで、空間群は【P2_1】【2_1】【2_1】(または【P2_1】【2_1】2)と決定された。反射は少なくとも2.5Aより高分解能まで見られる。非対称単位には酵素分子が1個含まれている。 (2)リボヌクレアーゼRhのBrCN分解後、還元カルボキシメチル化し生じたペプチドをゲルロ過で5画分にわけ、この3つについてEdman分解でアミノ酸配列を決定した。決定したのはN末端60残基、C末端55残基、および両者の中間の50残基である。 (3)(1)で得られた結晶は構造解析に十分な大きさをもっており、現在4軸回折計を用いてNative結晶の反射データを測定中である。またプレセッションカメラを用いて重原子同型置換体を探索中である。 (4)リボヌクレアーゼStの精密化はHendrickson & Konnertの方法を用いて行い、蛋白部分については終り、現在は結晶溶媒の部分を精密化している。現在の信頼度因子Rは約21%であり、良好である。
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