研究概要 |
ヒト細胞RSaにおいて突然変異発現の紫外線による誘発頻度が異常に高い理由をプロテアーゼタンパクと抗突然変異遺伝子の究明という2点から検討した. 1.RSaでは, 紫外線照射前にヒトインターフェロンαを処理しておくと突然変異の誘発頻度が著減しDNA修復製レベルが増大するが, 高発癌・高頻度突然変異形質のXeroderma pigmentosum(XP)患者由来線維芽細胞でも同様のインターフェロン効果が見られた. さらに, 高発癌性患者由来細胞ではどうか現在検討中である. 一方, 紫外線高感受性Cockayne syndrome(CS)患者由来線維芽細胞でも上記インターフェロン効果は認められた. したがって, インターフェロンを利用することにより, ヒト細胞のDNA修復機構の解明加容易になったと言えよう. 実際, RSa, XP, CSとの細胞でも, 上述インターフェロン効果に連動して活性上昇するプラスミノゲンアクチベーター様プロテアーゼ活性を認めた. 本活性は, 大腸菌recAプロテーアーゼと類似している可能性があり, 今後詳細に検討したい. 2.RSaの紫外線致死抵抗株UVr-1は突然変異誘発頻度も低下した変異株である. このUVr-1由来のDNAを制限酵素で断片化し, レーザー光を用いRSa細胞へ移入したところ, 極めて高頻度に紫外線抵抗性株加得特異的な遺伝子加移入され安定化したと考えられる. したがって, UVr-1由来DNA断片をクローン化することにより, ヒト細胞の抗突然変異遺伝子を同定しうると予測される.
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