研究概要 |
1.六郷扇状地(扇央〜端)の地下水位は、4月上旬の融雪時と5〜8月のかんがい期に高く、非かんがい期に低い。融雪による地下水位のピークは、扇央部の積雪深がゼロになる時と一致する。冬季間の地下水位は、積雪深の大きさに対応して変動し、積雪深が最大となる時期に地下水位は最低となる。 2.高水位の出現は、融雪かん養とかんがいによる水田かん養によってもたらされる。したがって地下水の人工かん養はこれら2つのかん養期の間げきをぬった低水位期に必要とされる。 3.浸透池を使った小実験を行いつぎの結果を得た。(1) 冬季間(特に降・積雪期)の浸透にも問題は生じない。(2) 給水量83l/分に対して146cmの池水位が維持されるとすれば、池の浸透高は36.2cm/時となる。(3) 池の水位は地下水位の変動に影響されることはないが、周辺の土壌水分の多少に影響を受ける。 4.地下水の水質分析:地下水の主要水質項目-Cation:Ca,Mg,K,Na,Anion:Cl【SO_4】,H【CO_3】-のほかに「水質汚濁に係る環境基準」(環告59,1971.12.28)の環境項目の内から、BOD,COD,SSを選び、さらにT-N,T-Pを加えた合計12項目の分析を経時的に行った。主要水質項目については、日本の地下水質の平均値に相応するものであった。またBOD,COD,SSの値はいずれも小さく、「環境基準」の河川,湖沼に準じて判定すればAA類型の水に区分される。水温は融雪期に低く8〜10℃程度、8月頃に高く13〜15℃程度となる。 5.このほか自家用消雪パイプ等による地下水利用については、次頁に記した研究発表の一部でとり上げた。
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