研究概要 |
本年度は主として以下に述べる諸問題について, 三人で分担して研究を進めた. 一.透水係数の不均質性を考慮に入れた地下水流動モデルについて, さらに検討を進め, 数値モデルの改良を行なった. 今なお二, 三の問題が残っているが, 本研究の目的には十分たえるものができたので, いくつかの計算を試みた. また計算結果を自動的に図化する方法についても検討した. 二.会津盆地においてボーリングデータの収集を, 昨年度に引続いて行った. その結果などを用いて, 盆地内の地下水流動系について考察した. また同時に地下水, 特に自噴井の水質を調べ, その地域的な差異から地下水流動に及ぼす透水係数の空間的変化の影響などについて考察した. 三.降雨浸透過程・流出過程に果たす連続した大間隙, すなわちパイプの持つ意味を評価するために, サンドボックスを用いた実験を行なった. 一連の実験では雨量強度を変え, またパイプの有る場合と無い場合について実験し, パイプの持つ意味について検討を行なった. その結果, パイプの有る場合と無い場合で流出開始時間に差が生じることが判明した. またパイプの有る場合は, 降下浸透中の水の動きが空間的に一様でないことが確認された. この傾向は雨量強度が増すにつれて, より顕著になることがわかった. 四.透水係数の空間的な変化が, 水および物質の挙動に与える影響を検討した. 鉛直一次元の数値モデルにより, 異なった透水係数を持った成層土壌内での水と物質(主に塩素イオンを想定)の挙動を検討した. 層厚の如何にかかわらず, 透水係数の小さな粘土層などの存在が, 水や物質の挙動を規定していることがほぼ確認された. 具体的な研究対象地域として, 茨城県の出島台地を選定し, 調査・研究を継続中である.
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