研究課題/領域番号 |
61580215
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
三井 嘉都夫 法政大学, 文学部, 教授 (10060930)
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研究分担者 |
東郷 正美 法政大学, 社会学部, 教授 (70061231)
井上 奉生 法政大学, 第二教養部, 助教授 (50193595)
佐藤 典人 法政大学, 文学部, 教授 (90097147)
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キーワード | 河床変動 / 外帯河川 / 砂利採取 / 河床低下型 / 土砂の供給 / 溶浮流物質 / 塩水溯上限界の延長 / 沖積平野の堆積速度 |
研究概要 |
昭和63年度は、61年度、62年度の成果をふまえ、次の諸事項について特に調査を進めた。(1)四万十川本川ならびに支川(特に下流部における中筋川、後川)の河床変動量の年次的変化とその類型化。本川筋年次別砂利採取量。(2)土砂の供給を吟味する意味で平水時と洪水時(洪水が起こらなかった為現実には不可能)における溶、浮流物質の測定。(3)窪川町上流部、仁井田川合流点付近の河床状況、支川の梼原川、広見川(下流吉野川)等の河床状況の精査。(4)四万十川以外の外帯諸河川(紀の川、物部川、仁淀川、大淀川)の河床変動量とその特性把握。(5)河床変動に伴う流域環境変化の整理(塩水溯上、地下水位変化、内水氾濫問題など)。(6)四万十川河口沿岸域の底質)。(7)沖積平野の堆積速度。(8)最終年次にあたるため総合的まとめ。 以上本年度調査によって明らかになった諸点は次の通りである。(1)河床変動量は砂利採取量を現実の倍程度と考えても年間±0.1cm程度であることが明らかになった。(2)沖積平野の堆積速度は幾つかの遺物年代測定値から推定して縄紋海進期以後その堆積厚は、本川筋で年間0.2cm中筋川流域で0.06cmから0.15cm程度であることがわかった。(3)浮流物質量は平水時に1.0ppm、溶流物質は40〜50ppmと測定され、各流量換算を実施中。(4)窪川町及び仁井田川合流点付近でも河床には基盤岩石が露出し、部分的に分布する砂利堆積厚は2〜3m程度と予想外に薄いこと、梼原川でも河床には基盤岩の露出、土砂供給の多いといわれる広見川でも河床には岩盤が露出していること。(5)外帯諸河川では、物部川の河床変動量が3.9±1cm/年、仁淀川が2.7±1cmでやや堆積型、紀の川-1.6±1cm、大淀川は-0.7±0.1cmで浸食型に分類された。(6)中筋川、後川の本川との合流点付近は逆デルタ形成地ともいわれるが河川改修後本川の逆流は一層著しくなった。(7)河床低下に伴い、塩水溯上限界も延び、生物の生息範囲も変化した。(8)総合的には、外帯河川、特に四万十川は侵食型の河川といえる。
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