1.染色体ライブラリークローンソーティング法の開発:十分な数のライブラリークローンの制限酵素地図を作成し、そのパターンから重なり合うクローンを次々に見出し、染色体全体にわたるクローンのセットを作成するという、新しい染色体wclking法の開発を種々のステップについて行なった。 (1)極微量のクローンDNA調製法:ベクターにラムダファージを用い、ファージの増殖・DNAの抽出などのすべての操作を96六マイクロタイターブレート上で行うことにより、数千クローンのDNAを短時日に調製する方法を開発した。 (2)部分分解を用いる多数のクローンの制限酵素地図を高能率に決定する方法:クローンDNA試料中のDNA濃度を担体DNAによって一定にすることにより、種々の6塩基認識制限酵素の安定な部分分解条件を設定した。1000クローンの制限酵素地図を4週間程度で作成しうるゲル電気泳動のシステムを作成した。 (3)制限酵素地図の作成・重なり合うクローンの探索のためのコンピュータープログラムの開発:デジタイザー、パソコン端末(本研究費で購入)、大型計算機を用いるシステムを開発した(神戸大学・磯野教授の協力を得た)。 2.大腸菌染色体DNAの物理地図作成への応用:本方法の検討を行うためのモデル実験として、大腸菌染色体DNA(約4700キロ塩基対(kb))のライブラリーを解析した。約1000個のランダムに拾い上げたライブラリークローンについて8種の制限酵素地図を作成し、コンピューターに入力した。これを上記の方法で並べかえた結果、72のグループに分かれた。この段階で各グループ間のギャップは非常に小さいと見積もられたので、追加の2000クローンを高密度に接種するプラークハイブリダイゼーション法を開発し、グループをつなげていった。その結果、4700kbのほぼ完全な物理地図を作成した。
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