転写調節機構を明らかにするためには、in vitroでの解析が重要である。この目的に使用する固定化オペロンを開発するのがこの研究の目的である。 1.いろいろな長さのDNAのcohesive endをT4DNAポリメラーゼとビオチニルdUTPでblunt endにして、DNAを末端ラベルした。このDNAとアガロースビーズをアビジン-ビオチン特異的な結合をするかどうか試みた。数kbのDNAは結合されることが出来たが、いまのところ45kbのλDNAは結合させることが出来ていない。 2.アビジンアガロースに直接結合させた方が、アビジンを介してビオチンアガロースに結合するよりも、効率が良かった。この効率は、アビジンの密度よりも、ビーズの粒子の細かさに依存していた。 3.結合の特異性は、やや高い塩濃度で吸着させたほうが良く、50-70%特異的に結合するものが得られ、非特異的なものは高塩濃度で洗い落とすことが出来た。 4.固定化オペロンにたいする酵素のacsessibilityは、固定化オペロンを制限酵素で消化して検討した。少なくともO 1kb固定化部位からはなれれば、立体障害はないことが分かった。 5.大腸菌RNAポリメラーゼによる固定化オペロンの転写産物は遊離したDNA断片を転写したものと区別できず、固定化による影響はいまのところ見いだされていない。転写の停止も1000倍程度の急速な希釈によって簡便にできる可能性が強い。 以上の結果は、DNAはアガロース粒子の表面に結合しており、固定化による副作用は、最小限に抑えられていることを示す。よって、目的はほぼ達成された。
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