研究課題/領域番号 |
61810006
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研究機関 | 東京国立文化財研究所 |
研究代表者 |
馬淵 久夫 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 部長 (30011498)
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研究分担者 |
青木 繁夫 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 主任研究官 (60088797)
永嶋 正春 国立歴史民俗博物館, 情報資料研究部, 助教授 (50164421)
三浦 定俊 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (50099925)
平尾 良光 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 化学研究室長 (40082812)
久保 哲三 早稲田大学, 文学部, 教授 (40091946)
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キーワード | ガラス / 鉛ガラス / 鉛同位体 / 弥生時代 / 古墳時代 / 奈良時代 / 平安時代 |
研究概要 |
本研究の最終年度として、過去2年間で得られた結果の考察とまとめに専心したが、将来古代ガラスの研究を更に発展させるための新しい機器と手法の開発も次の2点について行なった。 A.鉛同位体比測定用に新たに英国製の全自動型質量分析計が昭和62年度に新設されたので、一部のデータをそれによって求めた。精度が高いので、産地の区別が従来より高い確度でできることがわかった。 B.元素分析に従来用いてきた蛍光X線分析と中性子放射化分析のほかに、新たに陽子励起蛍光X線分析法(PIXE)を東京大学宇宙線研究所の加速器を使って試みた。ガラスについて、通常の蛍光X線分析法よりも感度がよく、測定可能な元素も多いので、この方法は、文化財科学の分野でも今後重要性を増すと考えられる。 本年度に新たに得られた情報は下記の通りである。 1.弥生時代:福岡と佐賀の弥生遺跡から出土する緑の鉛バリウムガラスは、壁・管玉・匂玉の別なくすべて同種の原料で、鉛は前漢鏡とは違う華北産である。弥生遺跡からはバリウムを少量しか含まない黄色の鉛ガラスが出土することもあるが、その鉛の産地は華北ではなく、日本でもない。 2.中期古墳から出土する青色の小玉は、銅またはコバルトを着色剤とするアルカリ石灰ガラスであるが、その中に時折、鉛が多いものがある。鉛の産地は日本と考えられるが、主成分ではないので着色剤に付随するものであろう。後期の古墳から出土する鉛ガラスは朝鮮半島の鉛を含むと推定される。 3.奈良時代の遺跡から出土した鉛ガラス容器は、皇朝十二銭に含まれる鉛と同じ日本産のものを含んでいた。平安時代には対馬の対州鉱山の鉛が出回っていたと推定される。
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