研究概要 |
本年度は、現在鋸山地殻変動観測所の横坑内に埋設し、データを蓄積している一成分のボアホールひずみ計の観測経験及びデータ解析の結果を考慮して三成分ひずみ計一台を製作した。最初にひずみ計の耐水性,温度の影響,感度の検定方法を調べるために地震研究所地下にある海底地震計テスト用の井戸に沈め5カ月間連続データを蓄積した。その結果次の事実が明らかになった。1.ひずみ計の耐水性は完全である。2.ひずみ計が環境になじみ、完全に落ち着くまでには1カ月程度は必要である。3.温度の影響を受けやすいので常温の状態では水中におけるひずみ計の深さを変化させても水温分布があるため感度検定は困難である。4.日中の温度変化の少ない冬期においてはひずみ計による観測値な気圧の変化とかなりよく対応し、ひずみ計として十分な感度が得られる。以上の様な結果を考慮して次のことを実施している。油壷地殻変動観測所の横坑内に水槽を設置し、水を満たし数ケ月放置して水温を安定させた後、ひずみ計を沈め連続観測データを得ている。同時に気圧計及び水槽内の精密温度計による併用観測を実施している。常温の場合と異なり、温度変化は非常に少ないので気圧変化によるひずみ変化の対応、感度の検定、温度変化に対する影響等がデータの蓄積につれて可能になると考えられる。それらの基礎的な結果を得た後にひずみ計を埋設し、ひずみ変化のデータを得る予定である。
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