研究概要 |
日本海溝の中心軸地点(北緯34度,東経141度55分,水深9000m)での実験を2回行なった。6月の淡青丸航海ではワイヤーの先端にベントス社の音響切離装置とセラミック浮力球等を取り付けて7000mまで下ろした。その結果音響切離装置水中局の音響信号が弱く6000mを超えると交信ができないことが判明した。セラミック浮力球ならびにチタン容器製流向流速計は十分な性能があった。本研究で開発した流向流速計については日本海洋学会秋季大会で報告した(北川・平・ら)。音響切離装置についてもチタン容器を使用したものを開発することになり、日油技研工業の加圧タンク試験を繰り返して12月に完成することができた。音響出力の増大をはかり水中局のトランスジューサの指向特性を上方に集中するように工夫して大巾な性能向上をはかった。船上局のトランスジューサについても同様の工夫を行なった。12月に10000m相当の水圧を加えた実験水槽内に水中局を置いて外部から音響信号を送信して切離動作の確認を行った。また平面水槽にチタン容器使用の流向流速計を走行クレーンで曵航して応答試験を行った。これらの周到な実験の後に1月の白鳳丸航海でワイヤー繰り出して9000m水深まで下ろして音響切離試験を行なった。音響信号も明瞭に受信でき、また切離動作も正常に行えた。1月28日に冒頭の日本海溝に流速計を3台係留した条を設置した。回収は5月の淡青丸航海を予定している。世界最初の試みである。
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