研究概要 |
ダイヤモンドアンビル型高圧発生装置の発展によって、高圧下におけるいろいろな現象をその場で視覚的に観察できるようになった。特に相転移や結晶成長の圧力効効を調べる時は大変都合がよい。高圧の世界を直接目で見ながら研究が進められるようになってきたが、従来の方法では圧力の大きさは視覚的に決められない。図に示した分子構造のPd【(niox)_2】は高圧下で美しく色を変化させる。色と圧力の大きさの間の関係が正確に決められれば、色の変化から半定量的に圧力の値を知ることができる。これはPH紙験紙を使って、おおよそのPHの値を知るのと似て、簡単で安価に行うことができる。左図にPd【(niox)_2】の吸収スペクトルの圧力効果を示す。吸収帯は圧力の増加にともなって、長波長側に急速に移動する。この吸収帯の移動にともなって色が変わる。大気圧下で黄色であるPd【(niox)_2】は圧力とともに橙(0.8-1.4GPa),赤(1.4-2.3Gpa),赤紫(2-3Gpa),青(2.7-5.5Gpa),緑(5.5-6.5Gpa),淡黄(8Gpa以上)と変化する。色調はサンプルの厚み、圧力媒体,圧力分布,光源の種類と強度など多くの要因に依存している。それ故、まだ色と圧力の関係は正確に決められていない。これができれば色の変化によって圧力を半定量的に求めることができる。また圧力を色表示する最も大きな利点は、非静水圧性によって生じた圧力分布が一目ではっきりとわかることである。カラー写真は論文に示してある。
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