研究概要 |
目的の実験が遂行できるプローブの制作,NMR分光器の改良,温度ジャンプ装器の制作に関する基礎検討を行ない、以下に述べる成果を得た。 1.分光器の改良 分光器の送受信部は固体高分解能NMRの測定が可能であることを基本とする。このため、Q値を低く保ち、インピーダンスマッチングに注意を払い既設の受信部を改良した。送信部にはデカップリングが十分行えるようパワーアンプを備えた。また高速でのサンプリングが可能なように、A/D変換器を備えた。 2.高速温度ジャンプ装置の制作 温度一定の空気を高速で送るために、容量の大きな液体恒温槽の中へ銅パイプの蛇管を置いて乾燥空気をコンプレッサーから送る方式を採用した。熱交換容量の測定では、一定温度の空気流を定常的に高速で送ることができた。試料温度を正確にモニターできるために、NMRプローブの空気流の入口と出口に温度センサーを設置した。 3.温度ジャンプ用プローブの制作 プローブの制作にあたっては試料の融解および凝固に要する時間の短縮が最大の課題であった。このため肉圧の非常にうすい毛細管に試料を封じ、熱交換効率を高めた。試料の相転移は温度制御した空気を吹き付けることにより行った。予備実験の段階で相転移に要する時間は約一秒程度であった。
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