研究課題/領域番号 |
61850002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
国府田 隆夫 東京大学, 工学部, 教授 (50010715)
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研究分担者 |
石川 謙 東京大学, 工学部, 教務職員 (10176159)
岩佐 義宏 東京大学, 工学部, 助手 (20184864)
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キーワード | 有機高分子 / 有機薄膜 / 光情報記録 / 光クロミズム |
研究概要 |
本研究の第1、第2年度においては、新しい光情報記録素子作製の要件である良質のポリジアセチレン(PDAと以下略記)が、蒸着法により作製できることを実証し、各種の成膜条件の最適化と、この方法によって得られたPDA薄膜での光クロミズム特性の評価を行った。これらの成果を踏まえて、本研究計画の最終年度にあたる本年度は、次項のような研究を実施し、それぞれについて下記のような成果を得た。 (1)高配向性PDA膜の作製と評価 光記録材料としてのPDA薄膜の機能は、1次元的な共役主鎖上のπ電子系の光励起過程に直接的に関係している。したがって、その機能性を最大限に利用するためには、薄膜内での共役主鎖の配列が空間的に規制されていることが望ましい。そのような観点から種々の試みを行った結果、比較的簡単な基板処理により高度の配向性をもったPDA蒸着膜を作製する方法を確立することができた。この技術は光記録材料の性能向上だけでなく、共役π電子の非線形分極を利用する各種の非線形光学素子の開発に利用できる。このようにして作製された配向性PDA膜の構造と光学的性質を詳しく評価した。 (2)光クロミズムの微視的機構の解明 光重合によって得られた青色相のPDA膜が光照射により赤色相に変化する機構には、主鎖π電子系の電子状態変化だけでなく、水素結合により互いに連結した側鎖アルキル基の複雑なモルフオロジー変化が関係している。その機構を解明することは、青色相と赤色相との間の可逆的な光記録材料を開発する可能性につながる。このような観点から、赤外吸収、X線回折、微分熱量分析など多角的な測定を行い、色相転後に伴う主鎖および側鎖基系のコンフォメーション変化に関して詳しい知見を得た。その結果は、側鎖基構造を適当に制御することにより、可逆的変化の可能性を示唆している。
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