研究概要 |
1.複合慣性航法システムの試作研究としてストラップダウン型慣性航法システムと星画像システムを複合化し姿勢系に対する複合慣性航法システムを試作し試験を実施した. 本試作システムは性能的に航法精度, 安定性, 運動に対する追従性全ての項目にわたって満足せしめ得ることが試験により確認され, 将来型の人工衛星, 宇宙機搭載自律型航法システムとして十分能力のあるものと考えられる. 2.試作システムは各軸に再速度検出ユニット(レートジャイロ)を配置し亦CCD受光部を主とする星画像センサー及び航法演算部よりなる. 航法演算部はM68020とM68000よりなり実時間処理については十分であった. ソフトウェア設計上特に注意を払った点は慣性航法系の高速度処理と航法演算部内の統合フィルター部であり結果的に満足できるシステムが得られた. 3.試験は3軸のモーションテーブルを用いて行われ, 星像は疑似星像を用いた. これは試験が室内のためである. 実星像についての試験は星画像系のみについて別途行われ, 確認されている. 試験結果は複合慣性航法システムの理論の妥当性が十分検証され, 設計理論確立への礎石となったと考える. 今後の展望としては, GPS系との複合による完全な6自由度複合慣性航法システムへの拡張と耐故障性をもつシステムの構築であると考える.
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