研究分担者 |
田中 敦彦 宇部興産(株)宇部研究所, 研究員
橘 輝夫 宇部興産(株)宇部研究所, 研究室長
藤満 達朗 山口大学, 工学部, 助手 (70035062)
TACHIBANA Teruo Ube Industries, LTD, Chief Manager
TANAKA Atsuhiko Ube Industries, LTD, Researcher
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研究概要 |
1000℃を超える高温下でセラミックスの強度評価を正確に行うためには負荷試験中, 試験片に生じる変位を精度よく測定することが必要である. 本研究は変位計測システムの開発を中心として, 総合的にセラミックスの高温強度試験装置の設計・製作を目指したものである. 完成した本試験装置はレーザー光線を利用した非接触形変位計測システム, カンタルスーパ33を発熱体とする円筒二分割高温電気炉と温度制御装置, および負荷試験装置としての閉ループ型電気油圧式材料試験機とから構成されている. なお, 負荷用治具は窒化けい素およびNi-基超耐熱合金を用いて新たに設計製作された. 本装置を用いて窒化けい素セラミックスの高温強度試験を実施した結果, 主として次のことが判明した. (1)本研究で開発されたレーザー光線を利用した変位計測システムによると1000℃以上での負荷試験中, セラミックスに生じる100〜300μm程度の変位を測定範囲の約2%の精度で非接触的に測定可能である. (2)本変位計による窒化けい素セラミックスの変位計測結果によると, 1100℃までの試験温度下では荷重Pと変位δとの間に直線関係が成立した. しかし, この温度以上の試験温度下では, 温度の上昇につれてP-δ関係は上に凸に折れ曲り, 窒化けい素は塑性変形を生じることが示唆された. (3)曲げ強度は, 1000℃までは室温におけるそれとほぼ等しいが, 1000℃〜1100℃で強度は増加し, 1100℃で極大値を示した. そして, これは1200℃以上の温度下で急減した. シェブロンノッチ形試験片を用いた破壊靱性値試験の結果, 破壊靱性値K_<IC>は室温〜1000℃まではほとんど変わらず, これは1100℃辺りで極小値を示した. このように曲げ強度が極大値を示す温度でK_<IC>は極小値を示す.
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