研究概要 |
本年度の研究計画に記載したアルミニウム粉混入無気孔レジノイド砥石の試作およびPVA砥石を用いた新しいドレッシング法の確立はほぼ所期の目的を遂行でき、実用に供することが可能になったので、試作された砥石を用いて研削加工実験を行うとともに、高精度研削を行うにあたって問題になると考えられる研削砥石の熱変形量についても実験的解明を行った。本年度の研究で得られた主な結論は以下の様である。1.アルミニウム粉を混入した無気孔レジノイド砥石は熱伝導率が向上する。2.アルミニウム粉の混入および無気孔化によって砥石の弾性率は向上する。3.PVA砥石を用いたドレッシング法によって砥石の目出しを効果的に行うことができる。4.アルミニウム混入率を増加させると研削抵抗,砥石摩耗,各種切残し量などを減少させることができる。5.アルミニウム混入率を増加させると定常研削状態ににおける粗さは増加するが,スパークアウト完了後の仕上面粗さは小さくなる。6.ノズル固定式の複回路差圧式空気マイクロメータを用いて1研削サイクル中の砥石の熱変形量をインプロセスで測定した結果、過渡,定常,スパークアウト研削状態でそれぞれ増加,一定,減少の変化を示す。7.砥石の熱変形量は工作物の熱変形量の約半分程度であり、高精度研削を行う際には無視することができない。8.過渡研削状態では砥石と工作物の熱変形速度が急激に増大し、これが研削抵抗のオーバーシュート現象と寸法生成速度が有効プランジ速度を超過する現象を発生させる。今後はこの砥石を用いて、高能率・高精度プランジ研削加工の実現を目指す。そのために、砥石台移動速度を多段階に変化させる方法を導入し、その時の工作物の寸法生成過程を解明することによって、寸法精度,加工能率,加工変質層などの観点から、最適な砥石台の切込み曲線およびスパークアウト時の砥石台後退曲線を決定するための基礎資料を得る計画を立てている。
|