研究概要 |
本研究の目的は, 四肢切断という特異な障害者に対し, 肩義手と能動義足を装着して自律歩行を61年度, 62年度を通し実現させることである. しかしながら, 62年度の義足歩行の段階で被験者に歩行を試みる計画は, 糖尿病という思わぬ疾患で義足の利用は不可能となった. そのため62年度では, 主に電動義手に関する装着テスト, 及び, そのトレーニングによる操作訓練, 更にそれを支える技術的サポートの確立を進めたものである. 我々は全体を通し電動義手, 義足ともに機能の確認と利用条件は確立した. 全腕式電動義手では, 肩の空間リンク式機構の開発により高剛性と軽量化を満たす肩義手が可能となった. ハンド部には, クイッチェンジ方式によってフック型ハンドと手形の装飾ハンドを簡単に交換できる機構とした. また, CAD/CAM技術をフレーム製作に応用し, 体にあったフレームを製作することができた. 義手の制御回路は, ハイブリッド型マイクロコンピュータ(4台)により小型化を進めたものである. 大腿義足は, 本研究以外の被験者に装着したフィールドテストによって機能性, 有効性が確認され, 速足歩行が可能となった. また, 内外反の構造は, 斜面, 砂利道での安定歩行が可能となった. 電動義手装着テストについてまとめると主な成果は次の通りである. 1.顎スイッチによる義手装着のためのトレーニング装置を完成し, 3か月の訓練の結果, 約90%の操作率を上げることができた. 2.試作した義手は食事動作, 水飲み動作, 本のページめくり動作の対処ができ, 高機能化の必要性と有効性を得ることができた. この装着テストは現在継続中である.
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