圧縮機を駆動するモータの回転数制御回路は、第1次試作機の場分には市販のモータ制御回路を用いた。この制御回路は汎用のICチップを利用しているためワンボードではあるが30[cm]角の大きさであるため、携帯型の装置に組み込むことは困難であった。そこで最近市販されるようになった、モータ制御などに適したICチップを用いることで、制御回路のワンチップ化を計った。これにより、制御回路の寸法形状を小さくするとともに、消費電力を低減することも可能となった。 携帯時間の延長のために、エネルギー変換効率に大きく影響すると思われる圧縮機のギャップを変化させ、その効果を調べた。その結果同じ負荷圧力でも、ギャップが小さい程吐き出し流量は増加し、圧縮機の体積効率は大幅に上昇し、流体出力が増加することが分かった。しかし一方、モータ消費電力も増加し、結果としてモータ入力電力量から空気圧エネルギーまでの全エネルギー変換効率は、結局ギャップによって変化しないことが分かった。駆動用モータのエネルギー変換効率を測定したところ、すでに80[%]以上の値が得られていることが分かった。したがって、これ以上の改良は現状の技術では困難と考え、上述のようにモータ制御用電子回路の消費電力削減を試みるにとどめた。また、前年度の評価試験で、電源の容量が少ないことが分かったため、今年度は二次電池パッケイジの電力容量を増加させ、携帯時間の延長を計った。 またマン・マシンインターフェースを、実際に種々の利用状況を想定して使用し、その使いやすさについて評価を行なった。この評価を基に、設定値を変更する場合、変更項目だけをただちに呼出し変更できるように改良した。シミュレータに接続して装置の総合評価を行ったところ、ほぼ満足のいく結果が得られた。
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