研究概要 |
本研究(初年度)に行われた研究の概要は以下の通りである。 装置関係では、Pdが1ないし10Torrmm程度で処理用に気体を流すことのできる装置を組み挙げ、放電時の放電空間における放電生成物の中で、想定通り高いエネルギーを持つ粒子が多く含まれているかどうかを、スペクトル線の強度測定により確かめた。これには、本年度の補助金によって購入した浜松フォトニクス製のフォトカウンタが使用されている。電界方向では、陽極近くにおいて高エネルギー粒子が通常の低気圧直流放電におけるよりもはるかに多くの割合で存在し、予想通りであったことが確かめられた。また、半径方向の分布も測定された。 固体表面処理の関係では、次の事実が確かめられた。直流放電を使用しているので、陰極面では処理層の形成と同時にイオンによるスパッタリング現象も同時に進行するため、陽極面近傍が処理に適している。一般に、高分子は電気的絶縁性に優れているため、極性の定った電圧による放電処理には適さない。しかし、本研究における装置では、低気圧を使うため拡散性に富み直流による処理の可能であることが、実験的に確かめられた。また、大気圧空気中におけるコロナ処理にくらべ、濡れや接着剤に富む処理面が得られた。 管軸方向に磁界を加えるとプラズマは乱流状態に移行する。この異常拡散に基本的な役割を果す磁界に垂直な方向の乱流電界の時間的場所的変化を統計的に調べた。これらの量が放電々流,気圧,磁界の強さおよび管径方向の位置にかゝわりなく、飽和イオン電流の関数として表されることが見出された。 以上の結果は、62年度のPICPIG,ISPC,電気学会全国大会において発表される予定である。
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