研究概要 |
本年度の研究計画に従い、以下の項目について研究開発を行った。 1.ファイバ型PLZT光スイッチの設計 まず、単一モード光ファイバに溝を切った場合の回折損失を計算し、0.1dB以下となる溝幅はPLZTで50μm金属誘電体交互多層膜微小偏光子(ラミポール)で30μmであること、この寸法では各素子の導波路化は不要であることを明らかにした。PLZTやラミポールの諸特性より、波長λ=1.3μmに対してスイッチ電圧27V以下、消光比20dB以上、スイッチ周波数(速度)〜100MHz、挿入損失1dB以下の特性の得られることが判明した。 2.PLZTの合成及び物性定数測定 光学的特性に最も大きな影響をもつLaの組成,原料,プロセス等を変化して数種類の試料を合成し、諸特性を測定した。その結果、La/Zr/Ti=9/65/35付近において残留複屈折の無い電気光学定数の大きな材料が得られること、X線回折よりPLZTは立方晶系に属し、格子定数4.1【A!゜】の多結晶体であり、屈折率2.5、0.4〜7μmの光に対しほぼ透明であることなどが判明した。今後は、製造条件と諸特性の関係を明確にし、光スイッチ材料の製法条件を確立したい。 3.ラミポール 理論解析の結果、従来不明であった極薄金属膜の光学的性質とドルーデ理論に基づく新しいモデルを導入することにより、ほぼ説明のつくこと、更に特性改善には超高真空装置内で金属膜を作製すること、均質かつ平坦化した誘電体膜を形成することが有効であること等が判明した。 4.微細加工・電極形成・実装 ラミポール切り出しやファイバ溝切にマイクロラッピング技術が有効であること、PLZTの加工には高速回転カッターが有効であること等を確認した。位相スイッチ用電極付を含む加工を行い、幅60μm深さ70μmのリッジ型位相スイッチを作製し、スイッチ電圧64V、40MHzの変調を確認した。
|