研究概要 |
本研究の目的は, PLZTセラミクスを微小加工した位相変調素子と金属・誘電体交互多層膜微小偏光素子(LAMIPOL)とを, 光ファイバ中に溝を切って埋め込み, 特性の良い安価なファイバ型光スイッチを開発することにある. これらを実現するには, PLZT光変調素子, LAMIPOL, 及び光ファイバへの溝加工技術の開発等が必要である. LAMIPOLについては, 極薄金属膜の光学的性質はドルーデ理論に基づくモデルの導入によりほゞ説明がつくこと, 特性改善には高清浄スパッタ装置で金属膜を形成すること及び均質・平坦化した誘電体膜を形成することが有効であること等が判明し, 試作検討を進めている. 現在, 波長1.3μmに対し, 厚さ35μmの素子で, TM, TEモードに対して0.4dB, 30dBなる特性を得ている. PLZTセラミックスについては, 製造法と特性の関係, 変調素子用材料としての評価(電気光学定数, 誘電定数, 屈折率, 光透過特性, 高周波特性, 温度特性など)を行い, 最適組成及び製造条件を求めた. HIP法では, Laの濃度が光学特性に影響を与え, 仕込組成でLa/Zr/Ti=9/65/35, 焼成〓径3.5μmの時に良好な特性を示した. 変調素子を作製するには, ダイシングソーとリソグラフィが有効な手段であり, リッジ型素子を形成して特性を評価した. その結果, スイッチ電圧1.0V, 速度50MHz, 消光比23dB, 挿入損失零なる特性を得た. ファイバの溝による回析損失等を含む理論計算と上述の成果を踏えると, ファイバ型PLZT光スイッチは, 挿入損失0.8dB, スイッチ電圧30V, 速度50MHz程度の特性(波長1.3μm)を期待できることが分った. 溝加工については, NTT研究所で開発されたマイクロラッピング技術が有効であり, 現在協力を戴いて, 技術の修得と応用に努めている. 近々, 部品を実装し特性評価を行う予定である.
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