研究概要 |
本研究の目的は、発振光周波数の差が一定となるよう周波数、および位相が同期されたアレイ光源にフーリエ光学的手法を適用し、多機能、複合機能をもつ高速光信号合成、処理システムを開発することである。61年度に行った研究の結果、以下の成果が得られた。 1.定周波数差同期については、まず、その基礎となる2ケのレーザの同期の研究を行った。800nm帯レーザダイオードを用い、注入電流とベルチエ素子による温度制御により、周波数制御と安定化を試み、周波数差を15GHz〜0Hzで固定、ビート周波数の広がりを200MHzより数10MHzにまで狭めることに成功した。62年度にはこのビート信号を参照信号に同期させ、ビート周波数を10KHzの変動幅に抑える予定である。 2.非常に深い位相変調により生じる変調サイドバンドは一定の周波数間隔をもち位相が自動的に同期するので、本研究の光源としては理想的になる。そこで、新しい共振器型の変調器を構成、実験を試みた結果、間隔約10GHz、本数70、本周波数広がり700GHzという世界に類例をみない超広帯域のサイドバンドを得ることに成功し(61.10.22日経済産業新聞)、ほぼTHz帯域の光信号合成、処理の可能性が導かれた。 3.GHz、数十GHz帯で働く周波数軸合波、処理系として、回析格子,複屈析フィルタ,マッハツエンダ,ファブリペロー干渉計、これらの複合したものを設計、構成し、2で得たサイドバンドに適用した結果、繰り返し周波数数十GHzから100GHz、パルス幅数psの単一,2重,4重等、種々の形状の高速パルス列を得ることに成功した(62春応物発表)。 以上のように、一部は予期以上の成果も得られている。62年度は、安定したレーザの定周波数差同期の達成の他、システムの小型化、実時間動作等所期目的達成を目指す。
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