研究課題/領域番号 |
61850079
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福地 信義 九大, 工学部, 教授 (80039677)
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研究分担者 |
古林 義弘 三菱重工業(株), 長崎造船所造船設計部, 課長
永野 裕康 九州大学, 工学部, 助手 (90037862)
安澤 幸隆 九州大学, 工学部, 講師 (10191123)
橋本 剛 広島大学, 工学部, 助教授 (30034317)
辻 勇 九州大学, 工学部, 教授 (80037697)
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キーワード | 石炭の酸化発熱と自然発火 / アレニウス型発熱体 / 酸素濃度の拡散方程式 / エンタロピー関数による温度の数値計算 / 熱放散と蓄熱量 / 浸透流可視化実験 / 注水による冷却 / 充填層の有効熱伝導率 |
研究概要 |
石炭運搬船における石炭の自然発火と温度制御の研究では、アレニウス型発熱体としての石炭の酸化発熱状態と船倉内の温度分布,注水冷却時における石炭倉内の浸透流の拡り方と冷却効果等に関して石炭倉模型による実験と数値解析により調べる必要がある。本年度はこれらの課題の内、酸化発熱実験は予備的に定量発熱体を用いて行い、さらに浸透流実験はシリカゲルの変色による可視化を試みた。これらの実験は発熱体と浸透媒体を変えて次年度さらに行う必要がある。また石炭倉内の酸化発熱に伴う温度分布の数値計算を行った結果、以下のような事が明らかになった。 1.石炭の酸化発熱量はその活性化エネルギーの大きさと周囲の酸素濃度に支配され、また酸素濃度は発熱量に影響されるのでアレニウス型発熱体のある熱拡散方程式と酸素の濃度拡散方程式を連立させて解く必要がある。酸化発熱についてはエンタロピー関数を導入し、有限要素法を用いて数値解析することにより安定な解を得ることができる。今後は解の精度を高めるためにエンタロピー関数を選択し、石炭の諸物性値を確定する必要がある。 2.石炭倉模型の発熱体は可変抵抗器による電圧変化する電気ヒータを用いているが、温度変化に対する追従が遅れるため温度検出により自動的に電圧制御する装置の開発が必要である。またシリカゲルによる浸透流可視化は粒体の破壊により浸透域が明確でなく、石炭と同じ吸水率の他粒体を用いる。 3.石炭倉内の温度分布は石炭の発熱量、熱放散と蓄熱量等により決まるが、発熱量は酸素濃度の高い積荷上表面近くが多く、蓄熱量は中央部が多いため上表面より少し内部が最高温度となり、ほぼ水平方向に温度等高線を成す。ただし温度分布は石炭の物性、特に活性化エネルギーと有効熱伝導率により支配される。充填層の有効熱伝導率は粒径、空隙率らに影響され積付状態などを特定して計算する必要がある。
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