研究分担者 |
古林 義弘 三菱重工業(株), 長崎造船所・造船設計部, 主務
永野 裕康 九州大学, 工学部, 助手 (90037862)
安澤 幸隆 九州大学, 工学部, 助教授 (10191123)
橋本 剛 広島大学, 工学部, 助教授 (30034317)
辻 勇 九州大学, 工学部, 教授 (80037697)
NAGANO Yasuhiro Kyushu University, Faculty of Engg., Research Associate
|
研究概要 |
石炭運搬船の貨物倉において石炭が酸化発熱する場合の倉内昇温の決定要因と蓄熱過程および注水による冷却時の浸透流と過荷重による船体強度について実験および理論解析を行い以下の事が明らかになった. 1.酸化発熱する際の船倉内温度の上昇速度を決める要因としては次の順序に影響が大きい. 1)石炭の見かけの活性化エネルギー, 2)石炭の反応熱比, 3)船倉の大きさ, 4)粉粒炭の有効熱伝導率, 5)周壁からの熱貫流率 2.石炭倉における蓄熱状態は堆積体温度と酸素濃度に関する状態方程式にニュートン・ラプソン法を適用した数値解析により推定可能であり, またこの解はアレニウス型の電熱体を用いた船倉モデル実験の結果との比較により妥当であることを確かめた. 3.倉内蓄熱の決定には活性化エネルギーが卓越しており, その値が小さいほど昇温速度が大きい. また粉粒炭の有効熱伝導率は小さいため, 船倉が大きいほど周壁からの放熱の影響が内部に及ぼす倉内蓄熱量が多くなる. さらに石炭の粒径が小さいほど有効熱伝導率が小さく蓄熱量が多くなり, 周壁の熱貫流率の違いの影響は周壁近傍のみに限られ倉内全体には及ばない. 4.不活性ガスの封入や堆積体表面を覆うなどの方法により酸素の遮断を行うことは倉内蓄熱に対する抑制効果がある. 5.過熱した倉内に注水による冷却を行う際の浸透状態を知るため, 準2次元船倉モデルにより可視化実験を行い, 粒度と浸透域の拡がり方の関係を調べた. これより輸入炭程度の粒度では粒度では倉内注水の横方向の拡がりが少いこと, また浸透面積は注水量に比例し, 浸透深さは1/2乗に比例するのが分った. 6.船の隔壁板が注水により過大な荷重を受けた場合について, 弾塑性関節法を適用した近似解法を確立し, この方法により防橈平板構造の弾塑性大たわみ挙動と耐力について解析した.
|