研究分担者 |
高品 純志 三井造船(株), 昭島研究所・船型研究室, 研究員
平野 雅祥 三井造船(株), 昭島研究所・船型研究室, 室長
原 潔 神戸商船大学, 商船学部, 教授 (20031445)
本田 啓之輔 神戸商船大学, 商船学部, 教授 (00031427)
仲渡 道夫 広島大学, 工学部, 教授 (20034324)
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研究概要 |
現在各国において航行の安全確保の為に船の操縦性能を初期設計の段階で精度よく推定する為の方法や近い将来に向けての操縦性基準の検討に対しても操縦性能推定法の確立が望まれている. 一般に操縦性能が最も重視されるのは港湾内や運河のように航路や水深などに制限のある場合や多くの船が輻輳する海域においてであると考えられる. 本研究はこのような問題を背景に特に操縦性が重視される港湾内・狭水路のような海域での操縦性能推定法の開発を行った. まず初年度は, 浅水時の船体に作用する流体力の計測結果を基に性能推定の為の数学モデルの検討を行った. 最終年度においては前年度作成した数学モデルの妥当性を自由航走模型試験と操縦運動のシミュレーション計算により比較検討を行い, 次のような新しい知見が得られた. 深水域の基に開発した数学モデルの各係数の中で各流力微係数やプロペラ・舵等の干渉係数に水深影響を考慮することで浅水域での操縦運動を充分に推定することが可能である. また旋回運動のシミュレーション計算結果は旋回航跡や諸パラメータばかりでなく, 舵力の時間的変化に対してもよく一致している. 更に船が側壁近くを航行する時の運動推定に際しても理論的推定法を提案している. これは狭水路中を航行する複数の船の船体相互干渉力の計算法を基に, 突堤のように側壁が不均一な場合に拡張して, 不均一側壁近くを航行する船の推定法も検討を行い, 実用上有用であることがわかった. 従って本研究において作成した操縦運動推定の為の数学モデルと側壁近くを航行する時の船体に作用する流体力の理論的計算の両者を併用することにより制限水域での操縦運動を推定することが可能であると考えられる. この方法は船舶設計の際に適用するばかりでなく, 自動運航システムの開発, また航行安全性確保の観点から海上交通管制や港湾土木の分野へも適用出来るものと考えられる.
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