研究分担者 |
菊川 春三 川崎製鉄(株), エンジニアリング事業部・研究開発センター, 課長
牛尾 正之 (株)ニチソウテック技術本部, エンジニアリング部, 部長
江見 晋 阪神高速道路公団, 公務部, 次長
藤井 学 京都大学, 工学部, 教授 (30031074)
EMI Susumu Hanshin Highway Public Corp., Eng. Section, Vice Head of Section
USHIO Masayuki Nichizo-Teck Corp., Eng. Section, Head of Section
KIKUKAWA Shunzo Kawasaki Iron Works Corp., Research and Development Center Construction Method L
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研究概要 |
近年, 社会的なニーズに伴い, 防錆橋梁が注目されつつある中で, 本研究は, 現在最も使用実績の高い防錆法である溶融亜鉛めっきを中心として, 亜鉛溶射の場合についても, これらの表面処理を施した部材の高力ボルト摩擦接合継手部の挙動に関してめっき厚やボルトの種類などを変えて, 新たに考案した試験方法による持続荷重下におけるせん断クリープについての試験, 並びに静的引張供試体についてのすべり耐力とボルト軸力の経時変化に関する試験を行った. これらにより得られた新たな知見を以下に列挙する. (1)設計すべり耐力の1/2程度の持続荷重でのせん断クリープ量の変化は, 無処理及び亜鉛溶射では載荷後1〜7日でほぼ収束しているが(収束せん断変形量は, 無処理:20μ,亜鉛溶射:30μ), 亜鉛めっきでは約2週間までは時間の対数に比例して(一次クリープ), その後クリープ速度が一定の定常状態(二次クリープ)に移行した後, さらにほぼ1年経過以降に収束状態(収束せん断変形量:50μ)となった. なお, これらの結果は, 本研究の要因水準の範囲では, めっき厚, ボルト等級, ボルトのめっき処理の有無などの差異による明瞭な影響はみられなかった. (2)ボルト軸力は, 経過時間の対数に対してほぼ直線的に減少し, 約1ケ月経過後の測定では, 軸力導入直後に対する減少率は, <1>無処理(約91%)><2>亜鉛めっき(約84〜89%)><3>亜鉛溶射(約81%)であり, ボルトの種類やめっき厚などにはあまり影響を受けなかった. (3)ボルト軸力に対するすべり耐力の比率(摩擦係数)の経時変化は, 無処理継手ではほぼ一定の値を示すのに比べて, 亜鉛めっきや亜鉛溶射などでは時間経過とともに増大する傾向にある.
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