研究概要 |
コンクリート構造物が供用後20〜30年を超えるものが多くなるにつれて, 海砂使用の構造物あるいは海洋構造物に鉄筋の腐食による損傷の報造が増加している. 本研究ではこれらの腐食損傷に対処するため次の2つの役割分担によって腐食損傷の評価と補修対策について研究を行った. 1.コンクリート構造物の腐食損傷の評価 練り混ぜ時にコンクリートの中の塩分濃度を変化させた腐食の促進実験によって, コンクリートの中の鉄筋の発錆はセメント重量に対して塩素量が0.2%以上になると起ること, これは単位セメント量が300kg/m^3の場合0.6kg/m^3に相当すること, 塩分を含んだ鉄筋コンクリート部材の腐食による補修の際, この程度の塩分濃度領域までコンクリートを除去することが必要であることがわかった. 一方鉄筋コンクリートの腐食の損傷はコンクリート中の鉄筋の腐食による膨張がかぶりコンクリートを破壊することから生じ, この損傷を制御するにはコンクリートのかぶり厚さに対応して許容鉄筋応力を抑えることが必要であることがわかった. 2.コンクリート構造物の腐食に対する補修対策 鋼板接着により補修を行った鉄筋コンクリート桁の実験結果から次のような事がわかった. 鋼板を同僚の鉄筋とみなしたときの曲げ耐力にほぼ等しいこと, 繰返し載荷時の鋼板応力が700kgf/cm^2以下であれば, ひびわれ, たわみは200万回繰返し後もほとんど増加しないこと, 疲労耐力は鋼板溶接部の施工の良否に大きく影響することなどがわかった. 表面保護としての塗装は, ポリウレタン樹脂系, エポキシ系樹脂, ビニルエステル樹脂系がおおむね要求性能を満しているが, ポリウレタン樹脂は耐候性に対して劣る. また施工条件に対して注意が必要である.
|