研究課題/領域番号 |
61850094
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
嘉門 雅史 京大, 工学部, 助教授 (40026331)
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研究分担者 |
青木 一男 京都大学, 工学部, 助手 (20111916)
赤井 浩一 京都大学, 工学部, 教授 (80025816)
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キーワード | 粘土 / 土の構造 / せん断 / 変形 / 顕微鏡観測 / ダイレイタンシー |
研究概要 |
粘性土の微視的変形機構を動的に直接把握することを目的として、走査電子顕微鏡に実装しうる超小型せん断試験機を試作した。試作機は電子顕微鏡内部で垂直・せん断荷重を負荷し、せん断変位置をダイレイタンシー量を検出しうるように工夫されている。 対象試料として、圧密されたカオリン粘土を用いて、試作機によって得られた微視的変形挙動は以下のようにまとめられる。 1.乾燥条件という制約の下ではあるが、巨視的な応力-ひずみに対応する微視的な粒子の動きが写真に記録された。 2.ピーク強度に達するまでは、一面せん断変形に対応した曲げ応力が供試体端部に発生し、これに伴うクラックの発生が明確にとらえられた。 3.ピーク強度付近では、ダイレンタンシーが最大値に達しようとしており、ピーク前に生じたマイクロクラックとは無関係にリーデンクラック面、およびこれを連続させる主せん断面が見られる。 4.残留強度に至る大変形後には、局所的な粒子移動がせん断面付近のみに起こり、ペッドの破壊・回転・細粒化が著しく生じているにもかかわらず、全体の巨視的ダイレイタンシーはほぼ一定値に達している。 これらの微視的変形挙動は、今後はVTRに録画し、その画像処理によって微視的な粒子の動きの定量化をはかる予定である。 なお、試作した超小型せん断試験機の問題点として、 1.試料ホルダー部と試料溶媒とについて、さらに工夫をして湿潤粘土をも取扱えるようにすること。 2.試料ホルダーの剛性を高めて、ピーク前の曲げ応力の発生を小さくおさえること。 などがあり、今後改良の予定である。
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