研究課題/領域番号 |
61850127
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
橋本 功二 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (70005859)
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研究分担者 |
奥山 元 三井造船, 千葉研究所, 研究員
嶋村 和郎 三井造船, 千葉研究所, 研究員
川嶋 朝日 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50005964)
浅見 勝彦 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20005929)
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キーワード | アモルファス合金 / アモルファス表面合金 / 無欠陥表面合金 / スパッター法 / スパッター用基板 / 耐食性 |
研究概要 |
Nb,Ta,Mo,Wなどのバルブメタルのように融点がAlの沸点より高く、Alとの合金の作製に溶融を含むような通常の方法が適用できない合金をAl基板の上にスパッター法で作製し、アモルファス構造になる組成範囲について、欠陥のない表面合金の作製条件を検討した。欠陥の発生には、基板に付着している異物と基板の微視的粗さが共に大きく影響する。基板を界面活性剤で脱脂しただけでは、アルミニウム基板作製の際に生じた表面の凹凸がそのまま残っており、均一な表面合金が生じないために、腐食試験によってかなり高密度に基板が侵される。化学研磨も基板の凹凸を十分に除くことにはならず、脱脂のみを行った場合よりはましであっても、表面合金の欠陥を通して基板が侵される。もっとも有効な基板の表面仕上げ法は、シリコンカーバイド紙で研磨した後、ダイヤモンドペーストおよびコロイダルシリカを研磨剤としてバフ研磨を行う鏡面研磨である。鏡面研磨を行ったAl基板に、例えばアモルファスAlーTa表面合金を作製すると、5%HCl中での侵漬試験を行っても、表面合金の欠陥を通して基板が侵されることはほとんどない。しかし、鏡面研磨後アセトン中で超音波洗浄を行うと、基板表面にめり込んでいた研磨剤が除かれて微視的なくぼみができるため、表面合金に欠陥が生じ、腐食試験によって基板が侵されるようになる。このように、欠陥のない表面合金を作製するためには、(1)クリーンルームを用いて基板に異物が付着したり、真空チャンバー内に異物が混入しないようにし、(2)清浄なガスを用いてスパッターを行い、(3)スパッター用ガスが表面合金に混入することを避けるためにスパッター用ガスの圧力を下げ過ぎることによって、表面合金の圧縮応力が高くなり基板から剥離し易くなることを避けると共に、更に(4)微視的に平滑な基板を用いることが必要であることが判明した。
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