研究概要 |
液体貯蔵用タンク金属材料の腐食劣化は耐食性内張りによって防がれておりこの内張り材料の損傷がタンクの寿命を律していることが実機の調査によって明かとされた。61年度の研究はこの内張り材の損傷検出について実験を行い、モデル容器によるシュミレーションの基礎的資料を求めた。本年度に購入されたFFTアナライザー,ポテンショフタット/ガルバノスタット,ストロークアンプは年度末に入荷されており、調整段階にあり、これらの実験の多くは既存の低性能機器によったが、検出の可能性について十分な感触が得られた。 (1)高分子材料の劣化進行の評価ボリカーボネートPCおよびボリメチルメタクリル酸メチルPMMAで作られた特殊な引張り試験片の上下端に送信用および受信用センサーを取付け、擬似雜音信号を送り入力波と出力波をFFT解析器に送り解析した。この擬似雜音はパーソナルコンピュータで合成されROMに記録したもので、10KHz〜2MHzにフラットなスペクトルを持ち、再現性があるため伝達関数のパワー情報だけでなく位相情報も得ることが出来た。低ひずみ状態で無定型領域中にマイクロクラック,エンブリオ状態が現れる。これらの形は偏平なレンズ状であり厚み方向がひずみの主軸である。この方向では無定型領域とマイクロクラック領域の直列結合となり伝達関数に変化が生じるが、主軸に垂直な方向ではそれらの並列結合となり差は少ない。損傷が進行しマイクロボイド,クレイズとなると差が両方向に等しくあらわれる。継続して伝達関数を複数個のセンサーにより測定することによって劣化の進行がモニター出来る。 (2)接合の評価内張り材を模擬し速合型接着材(丙品名EP007)の充槇材含むものおよび含まないものの接着強度,破壊形態と伝達関数との関係を求め線形の関係にあることを見出した。 (3)人工海水中において繰返し負荷をうける耐食性皮幕の挙動を交流インピーグレス法で解析した。
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