研究課題/領域番号 |
61850135
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
迎 静雄 九工大, 工学部, 教授 (20039027)
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研究分担者 |
加藤 光昭 九州工業大学, 工学部, 助教授
西尾 一政 九州工業大学, 工学部, 助手
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キーワード | 極低炭素鋼 / Nbの微量添加 / C-Mn系鋼 / 低温靭性 / 溶接熱影響部の靭性 / Nbの存在形態 / 固溶Nb |
研究概要 |
極低炭素化,低Ceg化による溶接熱影響部の低温靭性改善を目的にC及びMnの影響とともに、強度低下を補うために添加されるNbの影響について検討を行った。得られた結果を要約すると次の通りである。 (1)溶接熱影響部の靭性はC及びMnの含有量によって大きく変化し、いずれのMn量においてもrTrsが極小値を示すC量が存在する。この最適C量はMn量の増加にともなって低C側に移行する。これはミクロ組織と密接に関係しており、C量が少ないときは粗大なフェライトが析出するが、最適量になると細かい粒状フェライトが析出するようになる。さらに、C量が増大するときはフェライト・サイドプレート主体の組織となり靭性は劣化する。 (2)Nbの微量添加が有効に生じるのはC-Mn系鋼で粗大なフェライトが析出する低C鋼の場合であり、粒状フェライトが析出するような場合にはむしろフェライト・サイドプレートの析出及びM-Aの生成が多くなる。低C鋼にNbを微量添加すると粗大フェライト粒から細かいフェライト粒あるいは針状のフェライト粒に変化するために靭性が改善されるものと考えられる。 (3)0.03wt%のような極低C鋼であってもNbを微量添加することにより、0.06C-1.2wt%Mn系鋼の硬さと同等の硬さが得られることがわかった。このNb添加鋼の靭性は極めて優れている。 (4)Nbは炭化物形成元素ではあるが、1パスの熱サイクルではほとんど固溶Nbとして存在するが、つづく熱サイクルのピーク温が800℃近傍の領域ではNbCの析出が多く、靭性は劣化した、また、600℃×1時間のPWHTを行うときも同様にNbCの多量の析出が認められた。
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