電子冷却用電源の納品をうけて、これにペルチェ素子を接続し、素子表面温度制御試験を行った。すなわち、ペルチェ素子に流す電流方向を変える事によって、その表面をHOT側あるいはCOLD側とする事が出来、当研究に必要な表面温度+80゜〜-50℃範囲を 精度±0.5℃で維持出来る事がわかった。 無機材料表面に存在する有桟層からの発光信号を、安定した状態で検出する為に、表面温度を制御しなければならない。この為の素子表面設置型特殊セルを設計した。この際試料表面空間を出来るだけ小とする事及び試料表面と分光計の光軸とのなす角度を90゜および60゜に設定する機構をも考慮に入れ、現在試作中である。温度変化に伴う発光スペクトル変化について室温及び-20℃程度の表面温度でのスペクトルを検討した。PMMA薄膜をコーティングしたアルミニウム7μmフィルムを素子表面のCOLD側におき、-20℃付近において発光測光用光学系を通してスペクトルを測定した。この結果比較的S/Nのよいスペクトルが得られたが、これは試料表面より高温状態(40℃)にあるインターフェロメータが発光々源となり低温側にあるAl基板を反射面としてPMMA層を2回透過したスペクトルであると確認した。尚ガラス基板に存在するPMMAフィルムについてはスペクトルが全く得られなかったが、これはインターフェロメータからの光源エネルギーが全てガラスに吸収された為、上記Al表面PMMAの測定と異り、反射光が検出器に到達せず、スペクトルが得られなかったもので、従来発光スペクトル測定において無視されていた試料表面からの反射成分の寄与が著しく大である事がわかった。反射スペクトルは発光のそれとピークの向きが反対であり、これの補正が必要で、発光エネルギー検出システムの各構成素子と試料温度との関係を詳細に検討する事が重要課題となった。
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