研究課題/領域番号 |
61850138
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
二瓶 好正 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10011016)
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研究分担者 |
八幡 需 日本電子, 分析機器技術本部, 本部長
河合 潤 東京大学, 生産技術研究所, 教務職員 (60191996)
尾張 真則 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (70160950)
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キーワード | 電子分光器 / トロイダル型アナライザー / エネルギー分布 / 角度分布 / 多チャンネル同時計測 / 位置敏感検出器 / X線光電子分光 / X線光電子回析 |
研究概要 |
本研究は、X線励起光電子の放出角度分布を能率よく、かつ高精度で測定することを念頭に置いたエネルギー・角度分布同時計測型電子分光器を新たに開発することを目的としている。本年度はアナライザー収束特性改善のための補正レンズ系の組み込みとその最適化、試作機の総合評価を行うとともに、実用製品の開発の指導を行った。 1.補正レンズ系の組込みと最適化:昨年度設計したアナライザー収束特性改善用13極3段補正レンズ系を主スリットとアナライザー入口の間に組込み、各段に印加する収束補正電位の最適値を求めた。アナライザー入射前に予備減速を行わない場合は、アナライザー透過エネルギーの30%に相当する負の電位を第2段に印加し、他は接地することで最適の収束が得られ、透過エネルギー200eVに対し半値幅1.4eVのピークが得られた。予備減速を行う場合は、初段接地、2段は初期エネルギーの30%、3段は減速電位とすることで最適収束が得られた。 2.総合評価:試作したエネルギー・角度分布同時計測型電子分光器について、エネルギー分解能、極角分解能、方位角分解能、同時計測範囲の各項目について性能の評価を行った。エネルギー分解能はE/ΔE>200、極角分解能ΔΘ<1°、方位角分能率Δφ<3°の各値が得られた事が確認され、また、同時計測範囲として極角100°、エネルギー25eV(透過エネルギー200eVの場合)が得られていることも確認された。これらの結果から、目標とした性能が実現されたことが明らかとなり、X線光電子回析をはじめとする各種エネルギー・角度分布同時測定法への応用が確実に期待できるものとなった。 3.実用製品の開発指導:本試作機を製作する過程で明らかとなった補正レンズ系の重要性をはじめとするいくつかの基本事項についてまとめ、報告書として出版した。
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