研究概要 |
生体用(人工骨・歯等)に用いるためのバイオセラミックスとしてのリン酸カルシウム系結晶化ガラスについて、主として、(A)一方向配向結晶化ガラス、(B)体積結晶化ガラスの2つのタイプの結晶化ガラスの調製,改良,物理測定等を行った。(A)は、β-Ca【(PO-3)-2】の結晶の約1ミクロンの直径の繊維が、試験片としての棒状試料の長さ方向に平行に並んでできた配向結晶化体である。CaO/【P_2】【O_5】<1のカルシウムの少ない方の組成では、配向は容易であるが化学的耐久性に乏しいので、これに第3成分の添加を行ない、その配向度および耐久性に与える影響を検討した。曲げ強度は、最高5,000kg/【cm^2】に達するが、一般に添加剤を加えると配向度が低下する傾向にあり、したがって強度も低下する傾向がある。耐久性は向上する組成もあるので、実際上は適当な量を目的に応じて選択する必要がある。SrO,【B_2】【O_3】,【AI_2】【O_3】,【Na_2】Oなど試みたが、SrOが最も配向性を乱さず有効と考えられる。 (B)は、結晶が、試験片中に全くランダムに析出したもので、任意の形状が容易に鋳造により得られるものである。核形成剤のいろいろの種類を試み、基本組成 52CaO,2【AI_2】【O_3】 46【P_2】【O_5】のときには Zr【O_2】と【Y_2】【O_3】の両者のコンビネーションがよくZr【O_2】/【Y_2】【O_3】【〜!〜】5/1(重量比)が最も有効であった。両者の複合添加により、曲げ強度は1100kg/【cm^2】から1500kg/【cm^2】へと向上し、体積結晶化は、表面失透をほとんど伴なうことなく、核形成(Zr【P_2】【O_7】が結晶核)の効果が認められた。一方、多量のTi【O_2】を添加した3成分系の Ca0-Ti【O_2】-【P_2】【O_5】は、体積結晶化を示し、その結晶化の熱処理条件を検討した。
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