研究概要 |
半導体材料は現在種々な分野で用いられているが、その機能の一つとしての光反応活性の制御が不充分である場合が多い。例えば酸化チタンを含む塗料のチョーキング現象による光劣化,酸化亜鉛を含む化粧品の安全性の問題などはその例であり、有機無機複合材料を設計する上で半導体の光活性制御は極めて重要である。そこで本研究では、発色剤あるいは色調調整剤として半導体粉末を含む有機塗料を代表とする半導体-有機物複合材料光劣化の機構解明を目的として研究した。 1.半導体電極による光触媒活性変化の検討: TiO_2やZnO,CdSなどの光触媒における活性変化を半導体電極の表面処理によって電流変化として測定し、光生成キャリヤーのトラップ過程、再結合過程に関する詳しい知見を得た。これらの結果と光触媒の相関についても検討した。 2.低光触媒活性粒子の分離: 半導体粒子の精製方法として光浮遊鉱法を適用した。すなわちTiO_2粉末をシラン化合物処理によって疎水化し、これに光照射して光触媒反応をさせ光触媒活性の小さい粒子のみを選別し分離する手法を確立した。 3.耐候性試験の改良とそれに基づく種々の有機コーティング材料の評価: 長時間を要する野外での曝露試験による従来の耐候性判定法に代わりうる光電気化学的な手法による簡便な耐候性試験法を確立する実験をおこなった。TiO_2半導体薄膜上にいろいろの樹脂をスピンコーティング法でつけ、これを電解液につけて光電気化学的測定をおこなった。光電流-時間挙動から光劣化特性を得た。
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