研究課題/領域番号 |
61850151
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 善一 京大, 工学部, 教授 (60025814)
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研究分担者 |
小林 常利 理化学研究所, 研究員 (30109798)
杉本 豊成 京都大学, 工学部, 助手 (30093256)
丸山 敏朗 京都大学, 工学部, 助手 (40026282)
三木 定雄 京都大学, 工学部, 助手 (30135537)
田丸 良直 京都大学, 工学部, 助教授 (80026319)
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キーワード | 光エネルギー / 変換貯蔵 / ドナー・アクセプター / ノルボルナジエン / 固定化触媒 / 放熱過程 / 導電有機材料 / 電子供与体 |
研究概要 |
本研究は光エネルギーの化学潜熱への量子変換を作動原理とする光エネルギーの変換・貯蔵システムの構築を目指すものであるが、既にこの目的のための機能材料としてドナー・アクセプター型ノルボルナジエン/クアドリシクラン対(DA-NBD/DA-Q)が優れている事を見出している。本年度はDA-NBDから貯蔵エネルギーを取り出すための触媒の開発研究を行なった。テトラフェニルポルフィリンCo(【II】)錯体は電子吸引性基を有するクアドリシクランの対応するノルボルナジエン変換への有効な触媒であることを認めているが、本研究で着目しているDA-Qには触媒活性が小さい。この点を解決するため反応速度の詳細な検討を行ない、解媒活性の支配因子に関する以下の知見を得た。(1)反応はCo(【II】)のラジカル的攻撃で開始する。(2)遷移状態でCo-炭素結合を含むノルトリシクリルラジカルに近い構造をとる。(3)遷移状態でCo【→!←】カーボサイクルの電子の流れの寄与はほとんど互角で、金属のIP,PEともに等しく重要である。以上の知見に基づいて有効な触媒として新たにCo(【II】)サルフェンカルボン酸錯体をアルミナに担持したものを開発し、放熱過程の一次元型モデル反応により良好な結果を得た。また、光エネルギーを他の手段で変換した電気エネルギーを効率良く輸送できる高あるいは超伝導性有機材料作製用の構成成分として、従来広汎に研究されているTTFとは骨格構造を異にするいくつかの新規電子供与性化合物の合成を行なった。その中でエタンジイリデン-2,2′-1,3-ジチオールおよびそのセレン誘導体、そして1,3-ジチオール〔4〕ラジアレンは有効な電子供与体成分であることを見出し、電子受容体TCNQとの電荷移動塩は【10^(-1)】S/cm程度(圧縮ペレット状態)の高い電気伝導度を示した。これらの単結晶状態での導電特性および電解法によるカチオンラジカル塩合成について検討中にある。
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