研究課題
試験研究
Ar^+イオンレーザを用いたVAD火炎中の超微粒子気相合成反応場のin-situ測定、および反応場温度とガス組成を制御できる反応器を用いた温度およびガス組成の効果の実験的検討を行い、VAD法による光ファイバ母材製造プロセスに関する以下のような知見を得た。VAD火炎中のガス流れは層流である。反応ガス相互の拡散および反応は火炎の下部においてほぼ完結し、同時に平均粒径50〜60nmのSiOS_2、GeO_2あるいはそれらの混合物の超微粒子として析出する。この析出現象はほとんど瞬時に完結し、その後火炎中を上昇する間の粒子存在範囲の横方向広がりは粒子の熱拡散係のみに支配されるため、ほとんど広がらない。また、その間の平均粒子径の増大は観測されず、火炎中での二次粒子成長は無いと考えられる。粒子およびガス速度の測定結果から、粒子付着面近傍での熱泳動速度は1.0〜1.4cm/sとなり、これは直径800nmの球径粒子に相当する。付着面近傍ではガス温度が急激に低下しており、ガスが急に収縮した結果粒子同士が接近し、凝集してサブミクロンオーダーの二次粒子を形成するものと考えられる。一方、Ge組成については次のようなことがわかった。火炎下部における粒子析出時にGeのかなりの部分はSiが共存する効果により粒子中へ取り込まれる。Ge組成は粒子析出時の温度の影響を受け、1600Kの時最大となる。粒子中のGeの結合状態を見ると、1600Kの場合はGe-O-Si結合およびGe-O-Ge結合共に多いが、1750Kの場合はGe-O-Ge結合が少く、1450Kの場合はGe-O-Si結合およびGe-O-Ge結合共に少くなっていた。光ファイバ母材を電気炉中で溶融してガラス化する時にGe-O-Ge結合のGeは気散してしまうとされいていることを考えると、Ge-O-Si結合を多くし、かつ熱泳動効果を有効に利用して付着効率を良くするように速度場および温度場の工夫が望まれる。
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