研究課題/領域番号 |
61860018
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
白石 信夫 京都大学, 農学部, 教授 (70026508)
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研究分担者 |
松本 忠之 東レ, グラサル・建材開発研究所, 主席研究員
辻本 直彦 王子製紙, 研究本部中央研究所, 上級技師
田村 靖夫 豊年製油, 技術部, 次長 (90279505)
林 良之 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (50026001)
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キーワード | 可溶化 / フェノール樹脂 / フェノール化 / エポキシ樹脂 / 接着剤 / 複合材料 / 不飽和ポリエステル / ジアリルフタレート樹脂 |
研究概要 |
本年度は、無処理木材の可溶化と応用に関しては、可溶化物の利用の道を拡大することを目的とした検討を主として行った。まず、リグニンのフェノール樹脂接着剤化にあたり、フェノール化を効果的に併起させることにより、通常のレゾール樹脂接着剤に比べ15℃以上低い温度で十分な硬化接着性を示し、耐水接着をも具現させうるものが得られることを知った。他方、無処理木材チップのビスフェノールAへの可溶化について、系統的に検討し、反応性の高い樹脂を得るための最適可溶化条件について知見を得た。その木材ービスフェノールA可溶化物のエポキシ樹脂化について検討し、中温あるいは常温硬化型の十分な耐水接着能を備えた接着剤を調製し得た。 一方、木材と合成高分子との複合化による成形材料の開発に関して、2系統の検討を行った。まず、木材と不飽和ポリエステルとの複合材料について、昨年度に引続き検討を進めた。その結果、木材の繊維性を損わない範囲で、少量木材表面に不飽和基を導入することにより、木材と不飽和ポリエステルとの界面での化学結合の生成に基づく著しく大きな引張強度の発現など、すぐれた特性を有する材料となることが知られた。そのさい、アリル化、アリルグリシジルエーテル化、ブチルグリシジルエーテル化などによる効果も検討したが、とくに無水マレイン酸を効果的に処理剤として用い、適量の不飽和基を木材中に導入する場合、実際的にも意味のある結果が得られた。さらに、木材とジアリルフタレート樹脂との混練・成形による複合化についても検討した。混練条件および木材含有量の最適化により、本来のジアリルフタレート樹脂の強度特性を上回る成形材料が調製された。この場合も、木材とマトリックス樹脂との界面における親和性ならびに化学結合を生起させることを目的として、木材への不飽和基の導入を図り、その効果を認めた。
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