研究分担者 |
菊地 栄一 雪印乳業, 技術研究部, 部長
十河 幸夫 雪印乳業, 研究本部, 常務取締役
菅原 弘 東北大学, 農学部, 教務職員 (80089797)
戸羽 隆宏 東北大学, 農学部, 助手 (10108483)
須山 享三 東北大学, 農学部, 助教授 (70005635)
SOGOH Yukio Snow Brand Milk Industry Co. Ltd.
KIKUCHI Eiichi Snow Brand Milk Industry Co. Ltd.
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研究概要 |
東北大学農学部構内畑土壊の一部に10%ラクトース水溶液を毎日潅水することを1ヶ月間に続けた後, この土壊からラクトース含有ツアペック培地に生育する微生物の分離を行ない, 培地中に主として一種の三糖を蓄積する菌株を選抜した. この菌株は形態ならびに生理的諸性質の上からTrichoderma barzianumと同定された. また, 本菌が生成する前記の三糖は, 培地から分離精製後, 各種の機器分析の結果から, 6´-ガラクトシル・ラクトースであることが確認された. 6´-ガラクトシル・ラクトースは本来人乳中に存在し, 母乳栄養児の腸内に優先的に生育する微生物, Bifidobacteriumの生育を促進する, いわゆるビフィダス活性物質として知られており, このTrichoderma barzianumをラクトース含有培地中で培養することによって, 本物質を生物工学的手法を用いて生産できることが明らかとなった. 本菌株による6´-ガラクトシル・ラクトースの生産の特色は, 従来の酵素法に比較して単糖の生成の認められないことにあり, 製品の精製が容易であることを示すものであった. 日本において古来から食用に供されてきたAspergillusやチーズに使用されてきたPenicilliumも, ラクトース含有ツァペック培地中で6´-ガラクトシル・ラクトースを生成するが, その生成量はTrichoderma barzianumに比較すると, かなり低かった. また, Trichoderma barzianumによって微量ながら生成する二糖および三糖を分離, 精製し, 機器分析によって, それぞれの化学構造を決定し, ガラクトース転位が1→6位に優先的に進行し, ついで, 1→3, 1→4位であることを明らかにした. この転位に関係するP-ガラクトシダーゼはpH6 37゜Cに至適反応條件を有し, ガラクトース転位能のいちじるしい特徴をもっているが, 抽出後は不安定で容易に失活した.
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