研究概要 |
In Situハイブリダイゼイション法の神経研究への応用を目ざすため、以下の検討を行なった。 1.組織の固定法に関する検討:凍結乾燥法,灌流固定法の二つの方法に関して各種固定剤を比較検討した結果、2〜4%のパラホルムアルデヒドによる灌流固定法が、以下の理由により最適であると思われる。1)mRNAの固定保持が十分である。2)免疫組織化学との併用を行なうにあたり抗原性が維持される。3)手技操作が簡単で短時間で行なえる。また、このようにして固定した資料は、ドライアイス凍結後、クリオスタットによる切片の作成によっても組織中のmRNAは十分に保持された。 2.反応の感度に関する検討:(1)放射性物質の選択。プローブであるcDNAをアイソトープで標識する時、【^(32)P】,【^(35)S】,【^3H】等エネルギーレベルの異なる核種で比較した結果、マクロオートラジオグラフィーには、【^(32)P】【^(35)S】【^3H】のいずれの核種を用いても良いが露光時間を考えた時【^(32)P】,【^(35)S】が実用的であった。一方ミクロオートラジオグラフィーにおいては、【^(32)P】は解像度の低下をきたし、実用的でなく、【^(35)S】が時間的にも解像度の面でも最適であった。(2)信号雑音比の向上。in situハイブリダイゼイション法のオートラジオグラフィーで信号雑音比を向上させるには次の三点が重要であった。1)使用するプローブの比活性の向上、2)使用するcDNAプローブを10ng/slide以下に抑える。3)ハイブリダイズ後の洗浄を各プローブに合わせ条件決定を行なう。現在上記方法によりプレプロエンケファリンA,プレプロタキキニンAのmRNAを神経組織内での可視化を試みたが、感度,解像度ともに良好な成績を得ている。一方アイソトープを用いない方法はcDNAのスルホン化,ビオチン化を行ない検討中である。
|