研究概要 |
微小循環領域に適用できる外径・内径・壁厚・物質交換量等の多元的計測装置の開発の内、今年度は(1)X線イメージセンサを用いた摘出血管内・外径ならびに壁厚連続測定装置を作製した。すなわち、私共は、X線検出一次元イメージセンサがX線と可視光を利用して寸法計測のできる構成の簡易な不可視物体計測装置を製作した。次年度は本装置を摘出細動・静脈標本に適用できるように改良すると同時に、測定用ソフトウェアを開発する予定である。 1.X線イメージセンサを用いた摘出血管内・外径ならびに壁厚測定装置,本装置は、(1)X線発生器,可視光源とその制御回路,(2)X線検出一次元イメージセンサ,(3)X線ならびに可視光ビデオ信号処理回路,(4)X線遮蔽箱からなる。遮蔽箱内にはX線発生器,可視光源用スライドプロジェクタ,その直下の光軸上にX線検出イメージセンサが設置されている。このセンサのサーキットボードには1MHzクロック発生器,イメージセンサ駆動インターフェース,フォトダイオード出力検出回路が組み込まれている。寸法の計測は、被測定物をイメージセンサの長軸と直交するようにその受光面上に非接触状態で設置して行う。サーキットボード内で平滑処理されたビデオ信号は、被測定物投影像部分に相当する時間幅が欠落した方形波で、欠落時間幅を計測すれば被測定物の寸法が求まる。すなわち、可視光ビデオ信号処理回路のアナログ出力は8dβの反転増幅器,直流増幅器を経て外径出力となる。一方、X線ビデオ信号処理回路出力も全く同一の利得で増幅を受け、内径として出力される。さらに、外径と内径の差を差動増幅器で演算し、X線測定時のラッチ信号でホールドされるサンプルホールド回路,直流増幅器を経て壁厚として出力する。最後に本装置を摘出したイヌの腎動脈標本に適用し、装置の実用性を吟味した。
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