研究概要 |
自然界においては生体ホメオスタシス系の最終目標は単にそれぞれの系の調節量を一定に保つ事にあるのではなく、生体のおかれた環境状況において他の調節系のドライブを含めた生体全体としての総合的な適応にある。本研究は次の様な複数の環境適応行動の中枢連関機序解析が可能な行動研究装置を開発する事である。1)オペラント出力として、バー押し,自律反応,音声の3つを必要に応じて同時使用できる、2)報酬として温度,エサ,水,脳内報酬系電気刺激を用いる、3)自動訓練可能、4)データのon line処理を行い実験のバックアップが可能である。 本年度は全システムのうち、次の4つを完成した。これらを用いて、サルの体温調節行動及び摂食行動時の視束前野ニューロン活動の解析などを行なった。(1)体温調節,摂食,飲水オペラント行動装置の完成:次の3部分から構成される。a)パネル(レバー,集音マイク,報酬としてジュース,水,固型餌の出るディスペンサー,ランプ(レバー押し行動誘導用),ブザー(報酬予知音用)を備える。b)インターフェース(パネルとパネル制御用及びデータ処理用マイコンとの間の入出力制御)c)環境温切り換えシステム(精密温度空気共給装置2台と空気切換えバルブ装置)。(2)レバー押し行動自動訓練及びパネル制御システムの完成:行動の条件設定及び行動結果を累積し学習習熟度に応じて段階的に自動訓練するシステム。(3)内臓学習行動研究装置の一部完成:ミニポリグラフで心拍数を記録し、ある設定値を越えた時、報酬を与える。血圧をオペラント出力として使用する装置は来年度完成の予定である。(4)データ処理システムへのデータ取り込みソフトウェアの一部完成。以上、全システムの70%は完成し、実験にも使用し、満足すべき結果を得ている。
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