研究課題/領域番号 |
61870012
|
研究種目 |
試験研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
薬理学一般
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
前山 一隆 東北大学, 医学部, 助手 (00157158)
|
研究分担者 |
長田 久美子 兵庫医科大学, 助手 (90068502)
大和谷 厚 大阪大学, 医学部, 助教授 (30116123)
松永 亨 大阪大学, 医学部, 教授 (10101271)
小野寺 憲治 東北大学, 歯学部, 助手 (40133988)
渡邉 建彦 東北大学, 医学部, 教授 (70028356)
KAWAGUCHI-NAGATA Kumiko Hyogo Medical College
|
研究期間 (年度) |
1986 – 1988
|
キーワード | ヒスタミン / ヒスチジン脱炭酸酵素 / フルオロメチルヒスチジン / 自殺基質 / ヒスタミン涸渇 / マストミス / 十二指腸潰瘍 / 動揺病 / ヒスタミン受容体 |
研究概要 |
ヒスチジン脱炭酸酵素の特異的阻害剤であるα-フルオロメチルヒスチジン(FMH)投与によるヒスタミンの涸渇が、ヒスタミンの関与する種々の病態に対して効果があるかどうか、また、ヒスタミンは多くの生理的役割を果たしているのでヒスタミン涸渇が重大な副作用を生じないかどうかを検討するのが本研究の目的である。薬効の検討では、FMHはマストミスの胃カルチノイドにおけるヒスタミン産生を強く抑制し、ヒスタミン誘発十二指腸潰瘍の形成を完全に阻止した。動揺病モデルとしてのラットの二重回転刺激による異食症(カオリン摂取)はFMH投与で抑制された。FMHによる生理的パラメータへの影響としては、まずモルモットにFMHを連続投与して組織ヒスタミンを低下させても、H_1およびH_2-受容体の感受性は、それぞれ^3H-メピラミン結合とCAMPの上昇、回腸(特に、ヒスタミンに鋭敏な盲腸紐)と心筋の収縮を指標として調べた限りでは変化がなかった。マウス・ラットを用いての一般薬理作用のスクリーニングでも、高用量以外では、ほとんど影響なかった。しかし、詳細に中枢での作用を調べると、例えば、血中コルチコステロン、ACTH濃度や睡眠・覚醒の概日リズム、自発運動の自由継続リズムの位相などにはわずかな影響がみられた。免疫系に対しては、抗体産生やDNFB接触過敏性反応の調節には影響がなかった。FMHの最適投与法を求めてファルマコキネティクスを検討したが、投与されたFMHの脳、肝臓・胃粘膜への組織移行性はそれほど大きなものではなく、腎臓から速やかに排泄された。このことは、今後、FMHのより効果的な投与計画策定の基礎となるであろう。以上の研究を要約すると、FMHは胃・十二指腸潰瘍と動揺病の治療薬としての可能性が示され、FMHを投与して組織ヒスタミン含量が低下しても著明な副作用は出現しないようである。しかし、尚、詳細な研究が今後必要であると思われる。
|