研究概要 |
電気生理実験により記録されるニューロン活動のデータを小型コンピューター・システムによりオン,ライン処理するための自動記録,計測システムを開発する目的で、A/Dコンバーター等のハードウェア関係の試作および、種々のプログラム作製を行った。コンピューターには日立製HITAC,E-7100(cpuは68000,マルチバス)を使用し、DNA転送型のA/Dコンバーターをコンピューター本体に接続した。A/Dコンバーターには256Kbyte×2のバッファー・メモリーを装着することにより、高速に取り込まれるデータをA/Dコンバーター内で一時的に保存できるようにした。この機構により、A/D変換後のバイナリ・データを直接しかも連続的にハードディスク等の副記憶装置に書き込むことが可能になった。これらの作業を制御するためのソフトウェアは、汎用オペレーティングシステムであるuN【IX】上でd言語により開発したので、他種のコンピューターへの移植も容易である。コンピューターに記録されたデータは、グラフィック画面上にて観察した。また、データ解析用ソフトウェアとしては、1)逐次取り込まれたデータの三次元鳥観図による表示 2)刺激誘発波形,特に細胞内記録法により観察される興奮性シナプス後電位および活動電位の自動解析,の2種類を作製した。 上記のコンピューター・システムを用いて、ラットの摘出尾状核スライス標本の細胞内記録実験の解析を行い、ドーパミンの尾状核ニューロンに対する作用を検討した。その結果、ドーパミンの低濃度(0.1〜1μM)はD2受容体に作用して尾状核ニューロンに脱分極性の興奮作用を示し、高濃度(100〜500μM)は主としてD-1受容体に作用して抑制作用を示すことが明らかになった。
|