研究概要 |
骨,軟骨,歯牙などの硬組織の研究領域においても、炎症反応の解析、腫瘍の同定などに、諸種のcell markerを免疫組織学的に染め分けて、病態のdynamicな解析、病理組織学的診断に応用することが強く望まれている。しかし硬組織においては薄切前に欠くべからざる脱灰作用によって、marker成分がその抗原性を失い、その適用は困難であった。われわれはこの隘路を克服するために新しい固定法と脱灰法を開発した。 その概略は次の通りである。 1.材料は2〜3mmの厚さにトリミングする。 2.固定はPLP,4℃,6時間。 3.5%グリセリン加PBSにて4℃15分洗浄。 4.グリセリン濃度を10%,次いで15%に上昇。 5.15%EDTA+15%グリセロール溶液につけ、-5℃で脱灰。7〜14日まで。 6.15%蔗糖+15%グリセロール加PBSにて、-5℃,6時間洗浄 7.次第に蔗糖濃度を上げ、グリセロール濃度を下げて、20%の蔗糖加PBCまで持って行く。温度は4℃,各1時間。 8.20%PEG内にて振盪,4℃,10分。 9.20%PEGに包埋し、ドライアイスアセトン(-70℃)にて凍結 10.4μm薄切。 11.通常の免疫組織化学(PAP,ABC,蛍光)。酵素組織化学もOK 現在は電顕組織化学への応用にも略成功し、慢性関節リウマチ,顎骨骨髄炎などにも応用している。リンパ球のマーカーLeu2a,3a,4,1211,7や酵素の同定も可能である。
|