研究概要 |
1.植物精油の選定と適合性についての研究 悪臭ガスの中でもその除去が特に困難とされているメチルメルカプタン(MM)に植物精油を添加して、経時的に感覚測定およびMM濃度の測定を行った。その結果、D-リモネンやベンズアルデヒドを含む精油で感覚的軽減効果が比較的大きかった。また、D-リモネルの場合にはMM濃度の減少はみられなかったが、ベンズアルデヒドを添加した場合、MM濃度は急激に減少した。 次に、他のS系悪臭物質(硫化水素,ジメチルサルファイドなど)についても同様の実験を行い、比較的効果のあると思われる25種類の精油を選定することができた。これらの精油についてアンモニアやアミン類などN系悪臭物質に対する除去効果を調べたところ、シンナモン油,カシア油,ゲラニウム油,ベチバー油およびシトロネラ油などがN系悪臭に対して軽減効果に優れていることが明らかとなった。 構成成分と除去効果の関係については、現在検討中である。 2.精油の構成成分と臭気成分との反応機構についての研究 S系悪臭物質濃度の軽減効果の著しかったベンズアルデヒドおよびN系悪臭物質に対して吸収効果のみられた精油類に共通して含まれている精油成分である桂皮アルデヒドについて、悪臭物質との反応機構を調べるために、GC/MS分析を行った。その結果、メチルアミンと桂皮アルデヒドを反応させた場合、化合物名は未知であるが、分子量245の反応生成物の存在が明らかとなった。 現在、この化合物の同定ならびに反応機構を明らかにするために、文献的実験的な検討を行っているところである。
|