研究課題/領域番号 |
61870041
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田上 八朗 東北大学, 医学部, 教授 (60026911)
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研究分担者 |
六郷 正和 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (60183711)
橋本 久美子 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (00201707)
只木 行啓 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (40188256)
OBATA Masaaki Tohoku University School of Medicine (20124563)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | 角層 / 保湿性 / 水分保持能 / 高周波 / 伝導度 / 生体シミュレイション / モデル / 角層水分 |
研究概要 |
皮膚にしなやかさやつややかさを与えるのは、表面を覆っている角層中の水分である。多くの皮膚疾患で特徴的にみられる鱗屑は、まさに通常の環境下においてすら十分水分を保ちえない病的な角層の機能低下を反映し、固くもろくなった状態を示すものである。この角層内の水分含有量はin vitroの条件では秤量により測ることが可能であるが、組織液に浸された表皮組織と乾燥した外気との間を境し、当然内部で、水分含有量が均等でないと考えられる生体においては測定は困難であった。私たちは1980年皮膚の高周波伝導度が波長の水分含有状態を鋭敏に把えることをみいだし報告した。その後この簡便かつ無侵襲な方法は国際的にも広く用いられるようになってきた。しかし、実際の角層内の水分の含有状態をどう反映するかという基礎的なデータに欠けるところがあった。 本研究では水に浸した濾紙をスライドグラスの上に載せ、それを清浄皮膚より分離した角層片で覆い密封し、角層のみを介し水分が外気と濾紙との間を拡散するように工夫した生体角層のシミュレイションモデルを試作した。 種々の検索の結果、このモデルにおいては生体内と同様に角層の深部から表層にかけての水分の濃度勾配があることを確かめえた。さらにこのモデルを用い、高周波電導度と角層表層の水分含有量との間に高い相関関係が成り立つことを証明しえた。また、このモデルを用い、私たちの開発に高周波伝導度測定法は、低周波容量の測定を応用した西独製のCarneometer【○!R】と比較し、はるかに精度が高いことも確かめえた。 また、生体では行いえない相対湿度0%や100%に近い環境では角層内の水分分布がどうであるかの検索も行い、湿度0〜75%ではかなり類似の一定状態にあるが、90%以上の湿度下では深層の水分含有量が表皮のそれを凌駕しうる可能性をみいだした。
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